明快◎けいざいニュース

24年ぶりの円安の背景は?

  • けんた
  • 熱血先生
  • しょうこ

けんた

急速な円安の進行がニュースで話題になっていますね。

熱血先生

そうだね。20229月上旬、日本の円とアメリカのドルを交換する際の為替レートは「円安・ドル高」が進んで、ついに1ドル140円を突破した。1998年以来の24年ぶりのことだよ。しかもその進行は急速で、2022年1月には115円台だったのが、9月までの約8カ月間で20%以上も円安に進んでいるんだ。日本銀行が記録している為替レートのデータでは、2022年1月から6月末までの半年の円の値下がり幅は、記録を残し始めた1998年から一番大きなものとなったみたいだよ。

けんた

どうしてそんなに急速に円安になっているのですか?

熱血先生

為替レートはいろいろな要素によって決まるのだけど、一番大きな理由としては、日本とアメリカの金利の差が拡大していることが挙げられるね。アメリカでは、20203月から続けてきたゼロ金利政策を解除して、20223月に政策金利を0.25ポイント引き上げた。以降、段階的に引き上げられて、現在は3%台に到達しているよ。でも、日本ではゼロ金利政策は継続中で、政策金利は-0.1%と低い水準のままとなっている。

しょうこ

なぜアメリカは、そんなに政策金利が上がっているのですか?

熱血先生

物価上昇が背景にあるよ。物価は日本も上がってはいるんだけど、アメリカの場合は急速に上昇していて深刻な「インフレ(インフレーション)」の状況にあるんだ。アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)はこのインフレを抑えるために金利の引き上げを行っていて、今後もインフレの進行次第ではさらなる引き上げも行う姿勢を見せているね。対して、日本はまだ、景気の回復を後押しするために「金融緩和政策を継続する」としていて、具体的に金利を引き上げるという方針は示されていないんだ。

けんた

日本とアメリカでは、金融政策の方針が大きく違うのですね。

熱血先生

金利の差が広がると、日本円で預金するより、金利が高いアメリカのドルで預金した方が高い金利が得られて有利と考える人などが増えて「円を売ってドルを買う」という動きがより活発になる。それでドルに対して円の価値が下がる「円安・ドル高」が進行しやすい状況になっているんだよ。

けんた

円安の進行は、日本にとっていいことなんですか?

熱血先生

良い面と悪い面があるけど、どちらかといえば今は、悪い面の影響が心配されているようだよ。一般的に円安は、輸出で利益を上げる企業にとっては有利に働くが、反対に輸入企業には負担が大きくなるね。それに加え、現在もまだ、ロシアによるウクライナ侵攻は続いていて、その影響で日本でも原油などのエネルギーや穀物などの価格も上がっているから、円安が進むとなると、さらに輸入品の価格が上がって、原材料などを輸入する企業の負担はより大きくなるよ。僕たちの日常生活でも輸入品に頼る部分は大きいから、家計も圧迫されてしまうね。

しょうこ

お母さんが「食料品が値上がりして大変」と言っていたけど、円安が大きく影響しているのですね。

熱血先生

このように、行き過ぎた円安は私たちの生活にも深刻な影響を及ぼすんだ。円が力を取り戻し、魅力が増して、円安が少しずつでも解消されていくといいよね。

【ご使用にあたっての注意】
  • 本ホームページの内容は、著作物であり、著作権法によって保護されています。
  • 本ホームページの内容は、学校等教育機関の授業において自由に利用することができます。ご利用の際は可能な限り「出典:金融経済ナビ、証券知識普及プロジェクト」と明記してください。
  • 上記以外の目的で、本ホームページの全部または一部を無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。事前に日本証券業協会 金融・証券教育支援センター(お問合せフォーム )までご連絡ください。