明快◎けいざいニュース

「金融緩和政策」「金融引き締め政策」とは?

  • けんた
  • 熱血先生
  • しょうこ

けんた

父がアメリカの金利の引き上げについて話していました。どんな効果があるのか、基本的なことから教えていただけますか?

熱血先生

そもそも金利とは、お金を借りた人が貸してくれた人に対して払う上乗せ分のことで、「借り賃」に相当するものだよ。身近な銀行の定期預金の例では、10万円預けて、例えば1年後に101000円になって戻ってくるとしたら、この場合の利息は1000円。年率で表したら1%ということになる。銀行は、僕らが預金したお金を役立てて、「事業などを行うためにお金を貸してほしい」という企業に貸し出しをする業務を行っている。だから、「預金者は銀行を通じて企業にお金を貸して利息を受け取る」立場だともいえるね。

けんた

金利は金融機関だけでなく、僕たちの生活にも大きく関わっていますよね。

熱血先生

こうした金利は、中央銀行が決定する金融政策が土台となって決められている。日本の中央銀行である日本銀行は、景気が過熱したり、冷え込んだりし過ぎるのをコントロールするために、金利を上げ下げする金融政策を行っているんだ。一般に、金利を下げるのは景気を上向かせるために行う政策で「金融緩和政策」。反対に金利を上げるのは、景気の過熱を抑える政策で「金融引き締め政策」となるね。ちょっと専門的な話になるけど、現在、アメリカは金利引き上げに踏み切って、引き締め政策に向かい始めているけど、日本では金利操作として、「イールドカーブ・コントロール」という、長期金利では0%程度、短期金利ではそれ以下で推移するように抑える政策を行っているんだ。

しょうこ

つまり、日本はまだ緩和政策継続中ということですね。

熱血先生

そうだよ。例えば、金融機関同士が「今日借りて明日返す」という具合に、1日で満期を迎える超短期の貸し借りに使われるレートで、お金を借りる際の担保がいらない「無担保コールレート翌日物(オーバーナイト物)」という短期金利の代表的指標があるんだけど、このレートを低くすることにより、金利に影響を与えようとする政策が取られているんだ。こうした緩和政策は、中央銀行の景気や物価の安定を図る狙いもあるんだよ。

けんた

以前、教えてもらったことを思い出しました(参考記事)

熱血先生

政策金利が低い状態だと、金融機関は低い金利で資金を借り入れできるので、企業や個人には低い金利でお金を貸し出しできるようになる。そうなると、企業は設備投資のための資金を借り入れしやすくなるし、個人もマイホーム購入に向けて住宅ローンを組みやすくなる。経済の活発化が期待でき、結果的に物価も上昇する動きになりやすいんだ。

けんた

では、金利を上げる引き締め政策は、その反対の効果になるのですか。

熱血先生

そうだよ。金利が上がれば、企業や個人は、資金を借りにくくなる。すると経済活動が以前より活発でなくなり、景気が過熱するのを抑える効果が出るよ。企業は設備投資を抑え、個人も買い物などを控える動きが出るから、物価を抑制する動きになりやすい。アメリカでは現在、物の値段が上がり続けるインフレーション(インフレ)の不安が高まっていて、これを押さえようと、金利引き上げを行ったんだ。ちなみに、アメリカの政策金利はフェデラル・ファンド・レート(FF金利)と呼ばれるもので、これが、日本の無担保コールレート翌日物に相当するものとなるよ。

しょうこ

日本もアメリカのように、いずれは金融引き締め政策に移行するのでしょうか?

熱血先生

今のところ日本銀行は、金融緩和策を継続する姿勢でいるけど、いつまでかは僕も分からない。金融政策は株式や為替相場にも大きく影響するから、経済ニュースをしっかり見て、経済の動きには注目しないといけないね。

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