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大隅教授が「オートファジー」解明でノーベル賞、今後の創薬開発に道開く

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しょうこ:この秋、興味を持ったニュースの1つは日本人のノーベル賞受賞です。世界的に注目される栄誉ある賞に、今年も日本人が選ばれたのは誇らしいですね。

熱血先生:本当だね。今年は東京工業大学の大隅良典栄誉教授が、「オートファジー(自食作用)」を解明したとして、生理学・医学賞という分野で受賞したね。

けんた:オートファジーという言葉は聞いたことがなかったのですが、どんなものですか?

熱血先生:人間は30兆を超える細胞から成り立っているといわれるんだけど、その細胞が生命活動を維持するのに「たんぱく質」という栄養素は欠かせない存在だよ。オートファジーは、人間などの生物が「自分の体内の細胞の中にある不要になったたんぱく質を分解して、新たに生命維持に必要なたんぱく質をつくる」という一連の仕組みのようだね。使えなくなったたんぱく質を、体内の自分の力でリサイクルして再び使えるようにする働き、と言った方がわかりやすいかな?

けんた:その仕組みを大隅教授が解明したのですね。

熱血先生:うん。オートファジーは、まず細胞内に現れた膜が、不要なたんぱく質を包み込んでから分解をしていくんだって。自分自身の古いたんぱく質を食べて、新しいたんぱく質に作り変える様子をとらえて、過去に外国の研究者によってギリシャ語の「自分(オート)」と「食べる(ファジー)」を組み合わせて名付けられたようだ。細胞内でたんぱく質を分解する現象があるのは昔から知られていたんだけど、詳細は不明だったらしい。それで大隅教授が1988年に研究室を立ち上げ、微生物の酵母でオートファジーの現象を始めて観察することに成功したんだよ。

しょうこ:素晴らしい成果ですね。

熱血先生:人間は1日平均200~300グラムのたんぱく質が必要みたいなんだけど、食事で摂取できるのは、せいぜい70~80グラム程度。この不足分はオートファジーで補っているようなんだ。僕たち人間は、ある一定期間はご飯を食べなくても生きていけるけど、それはこのオートファジーの機能があるからなんだって。先生も初めて知ったよ。赤ちゃんがお母さんのお腹から出てきてミルクを飲めるようになるまでの間、栄養不足にならないのはオートファジーの仕組みで栄養を補っているからだとも考えられているんだって。

しょうこ:私たちの体の中にはそんなすごい働きがあるんですね。

熱血先生:オートファジーの働きを抑えた新生児のマウスは、通常のマウスに比べて栄養不足が目立ち、寿命も短いことが実験で確認されたみたいだよ。

けんた:興味深いですね。

熱血先生:何らかの原因でこのオートファジーがうまく働かなくなると、不要なたんぱく質が細胞の中にどんどんたまっていってしまう。アルツハイマー病やパーキンソン病などは、こうした不要なたんぱく質が神経細胞の中にたまって引き起こされているのではないかと見られているらしいんだ。それと高齢になるにつれてオートファジーの働きが弱まり、これが、がんや糖尿病などさまざまな病気と関係しているのではないかとも考えられているんだよ。

けんた:じゃあ、オートファジーのことがもっと詳しく分かれば、こうした病気を治すのに役立てられるということなのでしょうか?

熱血先生:そういうことだ。大隅教授はオートファジーの研究を登山に例えて「まだ謎が多く、進捗は3合目くらい」と言っているけど、ノーベル賞受賞の意義は大きいと思うな。
今後も医薬品の開発に応用させる目的で、製薬会社の研究開発はこれまで以上に積極的に進められていくだろうね。バイオ技術開発を行う会社なども、これまでオートファジーの研究に使う試薬や製品などを提供してきているけど、商品群の拡大が期待されているよ。

しょうこ:研究がこれまで以上に活発に行われ、成果が形になっていくといいですね。

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